傘は雨を防ぐための道具ですが、その生地には「撥水加工」と「防水加工」という、異なる2つの加工が施されています。
一般的に、傘生地は 表が撥水、裏が防水 という構造になっています。
これは、雨を効果的に弾き、かつ内部への浸水を防ぐための工夫です。
それぞれの加工について詳しく見ていきましょう。
撥水加工とは、生地の表面に水をはじく性質を与える加工のことです。
傘の表面に撥水加工を施すことで、雨粒が生地に染み込むのを防ぎ、水滴となって流れ落ちやすくなります。
撥水加工のメリット
撥水加工の種類
撥水加工には、主にフッ素系撥水剤を用いたものと、シリコン系撥水剤を用いたものがあります。
撥水性の強さは、JIS L 1092、AATCC22法などの試験方法で評価されます。
アンベル社では、AATCC-22法で80点以上を「撥水」、90点以上を「強力撥水」と区別しています。
防水加工とは、生地に水を浸透させない性質を与える加工のことです。
傘の裏面に防水加工を施すことで、撥水加工を突破した水が傘の内側に染み出すのを防ぎます。
防水加工のメリット
防水加工の種類
防水加工には、主に以下の2つの方法があります。
防水性の強さは、傘生地の耐水度試験(JIS L 1092 A法:低水圧)などの試験方法で評価されます。
撥水加工と防水加工の関係性
撥水加工と防水加工は、それぞれ異なる役割を担い、互いに補完し合うことで、傘の性能を最大限に引き出しています。
どちらか一方の加工が欠けていると、傘としての機能が十分に発揮されません。
例えば、撥水加工のみ施された傘は、表面は水を弾きますが、生地に水が染み込むと、そこから水が漏れてきます。
防水加工のみ施された傘は、水は漏れませんが、表面が水を弾かないため、生地が濡れて重くなり、乾きにくくなります。
撥水効果の持続性とメンテナンス
撥水効果は、使用や時間の経過とともに徐々に低下していきます。
生地を手で触ったり、雨水で汚れたり、摩擦が生じたりすることで、撥水効果が低下する原因となります。
撥水効果を長持ちさせるためには、以下の点に注意しましょう。
また、撥水効果を回復させるために、アイロンをかけるという方法もあります。
傘を開き、生地の裏側から低温~中温でアイロンを当てると、撥水コーティング剤に含まれるフッ素の働きが活性化し、撥水効果が回復します。
ただし、裏面がポリウレタンコーティングされた生地、ビニール素材、シリコン系撥水材には効果がなく、アイロンを当てることで、生地を痛めてしまう場合がありますので注意してください。
まとめ
傘生地の撥水加工と防水加工は、それぞれ異なる役割を担い、互いに補完し合うことで、快適な使用感と高い防水性能を実現しています。
それぞれの加工の特徴を理解し、適切なメンテナンスを行うことで、傘を長く愛用することができます。
傘の撥水性能において、「超撥水」とは、通常の撥水よりもさらに高い撥水性を示す状態を指します。
しかし残念ながら、超撥水には明確な業界統一の定義はありません。
各メーカーや団体が独自の基準を設けているのが現状です。
アンベル社の基準
この2つを満たしていること。
超撥水を実現する技術
超撥水のメリット
超撥水の注意点
まとめ
超撥水は、傘の快適性を向上させる優れた技術です。
しかし、超撥水と謳っていても、その基準や性能はメーカーによって異なるため、購入する際は、具体的な性能や使用されている撥水剤の種類などを確認することが大切です。