撥水傘とは

撥水加工と防水加工は別物です。傘生地の表面には、水を弾く撥水加工が施されています。一方、傘の裏面には、水が染み出さないようにする防水加工が施されています。似たような効果に思えるかもしれませんが、それぞれ役割が異なります。

 

撥水加工と防水加工の違い

どちらか一方の加工が欠けると、どうなるのでしょうか。例として、以下の表をご覧ください。

 加工 撥水 防水 現象
撥水あり、防水なし ×

 水は弾くが、生地に水がとどまると、生地から水が漏れてくる。

撥水なし、防水あり

×

 水を弾かず生地がベタベタになる、水は漏れない

つまり、撥水加工は傘の表面に水を留まらせないようにする加工のことです。

 

撥水と超撥水の違い

撥水と超撥水には明確な定義はありません。撥水度を数値化して基準を設けているメーカーや、水滴の形状で判断しているメーカーなど、基準は様々です。

例えば、アンベル社では以下のように撥水と超撥水を区別しています。

  • 撥水: AATCC-22法(米国基準の撥水試験)で80点以上。一般的な雨傘の新品の状態。水滴が半円形になる。
  • 超撥水: AATCC-22法(米国基準の撥水試験)で100点以上。水滴が球状になり、生地の上を転がるように落ちる。接触角が140℃以上。

普通の撥水

水滴が半円形になる
水滴が半円形になる

超撥水

水滴がボール状に丸くなる
水滴がボール状に丸くなる

撥水効果の持続性

AATCC-22法による撥水度の検査は、新品の状態で行われます。撥水効果は、生地を製造した時点から徐々に低下し始めます。傘生地を手で触ったり、雨水で汚れたりすると、撥水効果が著しく低下する原因となります。そのため、新品時の撥水効果は時間とともに必ず低下していきます。

 

撥水効果が長持ちする商品もあります。撥水効果は新品時の状態だけでなく、その効果がどれだけ持続するかが重要です。商品購入時は、撥水効果の持続性を示す品質表示を確認することをお勧めします。

 

撥水効果のメンテナンス

撥水効果を維持するには、メンテナンスが必要です。傘を開き、生地の裏側から低温~中温でアイロンを当てると、撥水効果を回復させることができます。

 

熱を加えることで、撥水コーティング剤に含まれるフッ素の働きが活性化し、撥水効果が回復します。アイロンは強く押し当てずに、軽い力で滑らせるように動かしてください。強く押し当てると、生地にアイロン跡が残る可能性があります。

※裏面がポリウレタンコーティングされた生地、ビニール素材にはアイロンを当てないでください。