撥水性

傘生地のはっ水度試験について

傘の生地にとって、雨水をはじく性能は非常に重要です。
この性能を評価するのが「撥水度試験」です。

 

撥水とは?

撥水とは、水をはじきやすい性質を指します。

これは、生地に水が染み込んで浸透するのを防ぐ「耐水性」とは異なります。

 

撥水度試験の方法

JIS L 1092に準拠した試験方法で、生地が水をはじく度合いを評価します。

具体的には、以下の手順で行います。

  1. 試験片の準備: 約200mm×200mmの試験片を3枚採取し、しわが生じないように保持枠に取り付けます。
  2. 試験装置への設置: 保持枠を撥水度試験装置に設置します。試験片の縦方向が水の流れに対して平行になるように注意します。
  3. 散水: 撥水度試験装置の漏斗に水250mlを注ぎ、約25~30秒かけて試験片に散布します。
  4. 水滴の除去: 試験片を試験台から取り外し、表側を下に向けて軽く叩き、余分な水滴を落とします。これを180°回転させて再度行います。
  5. 判定: 保持枠に取り付けたまま、試験片の湿潤状態を比較見本と比較して、1級から5級までの級数で判定します。

 

判定基準

  • 5級: 表面に湿潤や水滴の付着がない。
  • 4級: 表面は湿潤しないが、小さな水滴が付着している。
  • 3級: 表面が小さな個々の水滴上に湿潤している。
  • 2級: 表面の半分が湿潤し、小さな個々の湿潤が布に浸透している。
  • 1級: 表面全体が湿潤している。

 

一般的な基準

  • 3級以上

 

補足

  • 試験環境(温度、湿度など)は、JIS L 1092に規定されている条件に準拠します。
  • 撥水度は、生地の種類や加工方法によって異なります。
  • 撥水度はJIS以外の規格がある。

 

この試験により、傘生地の撥水性を客観的に評価し、お客様に安心してご使用いただける製品を提供できるよう努めています。

AATCC22法

AATCC22法は、American Association of Textile Chemists and Colorists (AATCC) が定めた、繊維製品の撥水性を評価するための試験方法です。

正式名称は「AATCC 22 撥水性:スプレー試験」です。

この試験では、水をスプレーで吹き付けた際の、生地表面の濡れ具合を目視で評価します。

具体的には、規定量の蒸留水を一定の高さから噴霧し、試験片に付着した水滴の状態を標準写真と比較することで、撥水性を0~100の等級で評価します。

 

試験方法の概要

  1. 試験片の準備:試験に使用する生地から規定のサイズに試験片を切り出します。
  2. 試験片のコンディショニング:試験片を標準状態の温度と湿度で一定時間調整します。
  3. スプレー試験:試験片をリングに固定し、規定の高さから一定量の水をスプレーで噴霧します。
  4. 評価:スプレー後、直ちに試験片の水滴の状態を標準写真と比較し、撥水等級を判定します。

 

等級と評価基準

AATCC22法では、撥水性を以下の10段階で評価します。

  • 100点:表面に水滴が付着せず、完全に水をはじく
  • 90点:表面にわずかな水滴が付着する
  • 80点:表面に小さな水滴が多数付着する
  • 70点:表面に水滴が部分的に付着し、わずかに濡れている
  • 50点:表面に水滴が全体的に付着し、濡れている
  • 0点:表面全体が水で濡れている

 

AATCC22法の特徴

  • 簡便で迅速:試験方法が比較的簡単で、短時間で結果が得られます。
  • 費用が安い:特殊な装置を必要としないため、試験費用が比較的安価です。
  • 定性的な評価:撥水性を数値ではなく、等級で評価するため、定量的な評価はできません。
  • 生地表面の評価:生地にしみ込む水の量は考慮せず、表面の濡れ具合のみを評価します。

 

AATCC22法の用途

  • AATCC22法は、主に衣料品や傘などの繊維製品の撥水性を評価するために用いられます。
  • 撥水加工の有無や、加工剤の種類、加工条件などを評価する際に役立ちます。

 

その他

AATCC22法以外にも、繊維製品の撥水性を評価する試験方法として、JIS L 1092(スプレー法)などがあります。

これらの試験方法とAATCC22法は、評価方法や等級が異なるため、注意が必要です。