インクジェットプリント

インクジェットプリントは、傘の生地にデザインを施すための印刷方法の一つで、近年注目されています。

従来の傘の柄は、生地を織る際に模様を組み込んだり、染料で染めたりする方法が主流でしたが、インクジェットプリントは、デジタルデータをもとに直接生地に印刷するため、より自由度の高いデザイン表現が可能になります。

大きく分けて、以下の2種類の方法があります。

 

1. 直接生地に印刷するタイプ

専用のインクジェットプリンターを使用し、傘の生地に直接インクを吹き付けて印刷する方法です。

  • メリット

    • 色鮮やかな表現が可能
    • グラデーションや写真などの繊細な表現もできる
    • 小ロット生産に対応しやすい
    • 工程がシンプルで、比較的低コスト
  • デメリット

    • 生地の種類によっては、インクが定着しにくい場合がある
    • 撥水加工との相性が悪い場合がある
    • 印刷の耐久性が低い場合がある

 

2. 一旦紙に印刷してから生地へ転写するタイプ

昇華転写紙と呼ばれる特殊な紙にデザインを印刷し、それを高温で生地に圧着することで、インクを生地に染み込ませる方法です。

  • メリット

    • 耐久性が高い
    • 撥水加工との相性が良い
    • 色落ちしにくい
  • デメリット

    • 色鮮やかさや繊細な表現は、直接印刷に劣る
    • コストが高い
    • 大量生産に向いている

インクジェットプリントのメリット

  • 多様なデザイン表現:写真やグラデーションなど、従来の方法では難しかったデザインを表現できます。
  • 小ロット生産:必要な分だけ印刷できるので、少量生産やサンプル作成に最適です。
  • 短納期:版を作る必要がないため、短納期で製作できます。
  • コスト削減:デザインの変更が容易で、版代などのコストを削減できます。

 

インクジェットプリントのデメリット

  • 生地やインクの種類によっては、色移りの懸念があります。
  • 濃色生地への印刷は、下地処理が必要になる場合があります。
  • 印刷コストは、印刷方法や数量によって異なります。

 

インクジェットプリントの用途

  • オリジナル傘の製作
  • サンプル作成
  • ノベルティグッズ
  • 企業のロゴ入り傘
  • イベント用傘
  • アート作品

 

まとめ

インクジェットプリントは、傘のデザインに新たな可能性をもたらす技術です。

傘の用途や目的、デザイン、予算などを考慮して、最適な印刷方法を選びましょう。

インクジェットプリントと染色堅ろう度について

インクジェットプリントは、生地に多様なデザインを表現できる優れた技術ですが、染色堅牢度については注意が必要です。

染色堅牢度とは、染めた色が洗濯や摩擦、光などによって色落ちしたり、変色したりする度合いを示す指標です。

インクジェットプリントの場合、使用するインクや生地の種類、前処理、後処理の方法によって染色堅ろう度が大きく変わる可能性があります。

特に傘は、雨に濡れることを前提とした製品であるため、防水撥水処理が施されています。

この防水撥水コーティングとインクが化学反応を起こし、色移りや色落ちが発生するケースも考えられます。

 

具体的には、以下のような要因が考えられます。

  • インクの種類: 染料インクは顔料インクに比べて水や摩擦に弱く、色落ちしやすい傾向があります。
  • 生地の種類: ナイロンやポリエステルなどの化学繊維は、綿や麻などの天然繊維に比べてインクが定着しにくく、色落ちしやすい場合があります。
  • 防水・撥水加工: 防水・撥水剤の種類によっては、インクと反応して色落ちや変色を引き起こす可能性があります。
  • 使用環境: 直射日光や高温多湿の環境下では、インクが分解されやすく、色落ちや変色が促進される可能性があります。

 

傘のインクジェットプリントにおける染色堅ろう度を高めるためには

  • 生地に適したインクを選択する: 生地の種類に適したインクを選択することで、インクの定着性を高め、色落ちを防ぐことができます。
  • 前処理・後処理を適切に行う: 生地の前処理として、インクの定着を助ける薬剤を使用したり、後処理として熱処理を行うことで、染色堅ろう度を高めることができます。
  • 防水・撥水加工との相性を確認する: インクと防水撥水剤の相性を確認し、色落ちや変色を起こさない組み合わせを選ぶことが重要です。