傘の飾り手元の役割|強度試験などを解説

今回は、折りたたみ傘の軽量化に貢献する「飾り手元」について詳しく解説していきます。

「飾り手元」という言葉は、日常生活ではあまり耳にする機会がないかもしれません。しかし、折りたたみ傘の設計において重要な要素であり、特に強度試験においては「手元」と「飾り手元」を明確に区別する必要があります。

飾り手元とは?

折りたたみ傘には、大きく分けて2つのタイプがあります。

  1. 手元を持つタイプ: 従来の長傘と同様に、握り手となる部分(手元・ハンドル)があります。
  2. 中棒を持つタイプ: 傘の骨組みの中心となる棒(中棒)を直接握って使用します。

中棒を持つタイプの中でも、手元が極端に小さく、実質的に中棒を持つことを促すデザインのものを「飾り手元」と呼びます。飾り手元は、傘の軽量化や小型化のために簡易な取り付け方法が用いられております。手元だけを持つ代わりに中棒を持って使うように促されます。これは、軽量化・小型化と耐久性のバランスをとるための工夫です。

飾り手元は手のひらに収まるサイズ感
飾り手元は手のひらに収まるサイズ感
飾り手元はシャフトを持って傘を差す
飾り手元はシャフトを持って傘を差す
飾り手元とシャフトを同時に持つ場合もある
飾り手元とシャフトを同時に持つ場合もある

飾り手元の強度試験

傘の強度試験では、中棒と手元の取付強度が測定されます。

しかし、飾り手元は取り付け強度が低く設計されているため、手元を持つタイプと同じ試験方法では、破損する可能性があります。そのため、飾り手元の強度試験では、異なる基準が適用される場合があります。一般的には、

  • ジャンプ式折りたたみ傘: 600N(約61kgf)
  • 手元を持つタイプの折りたたみ傘: 350N(約36kgf)
  • 中棒を持つタイプの折りたたみ傘(飾り手元): 200N(約20kgf)

の負荷で手元を引っ張る方向に1分間力を加えた後、ひび割れ、緩み、抜けなどの異常がないかを確認します。

折りたたみ傘でも傘のスタイルによって、負荷が異なります。

飾り手元のデザイン

飾り手元は、小さく作られていることが特徴です。これは、軽量化と同時に、使用者が中棒を持って使うことを促すためです。しかし、小さくてもデザイン性を持たせることで、傘全体の美観を損なわないように工夫されています。

また、形状によっては親骨や露先を束ねる役割もします。

飾り手元は小さく作られていることが特徴です
飾り手元は小さく作られていることが特徴です
手元で親骨を束ねている状態
手元で親骨を束ねている状態

まとめ

飾り手元は、軽量化と耐久性のバランスをとるための工夫であり、折りたたみ傘の設計において重要な役割を果たしています。

お客様に安心して傘をご使用いただけるよう、今後も品質向上に努めてまいります。

 

今回は、折りたたみ傘の「飾り手元」について解説しました。

飾り手元は、軽量化と耐久性のバランスをとるための工夫であり、折りたたみ傘の設計において重要な役割を果たしています。

アンベル株式会社では、傘の品質管理に力を入れており、飾り手元の強度についても厳格な基準を設けています。

お客様に安心して傘をご使用いただけるよう、今後も品質向上に努めてまいります。

 

注釈:

  • 上記の「飾り手元」の定義は、折りたたみ傘におけるものであり、通常の傘では異なる場合があります。
  • 飾り手元に求められる引張強度は、傘の種類やデザイン、使用する素材などによって異なります。