日傘の遮光率・UVカット率表示に関する考察

近年、日傘の遮光性・UVカット効果への関心が高まり、各メーカーから様々な機能を謳った商品が販売されています。その中で、遮光率やUVカット率の表示において、「100%」と「99.9%」という表記の差異が見られることがあります。これは、消費者に誤解を与える可能性があり、業界全体で統一的な表示基準を設ける必要性を感じています。

遮光率・UVカット率表示の現状と課題

現状では、多くのメーカーが生地の試験結果に基づいて遮光率・UVカット率を表示しています。しかし、傘は生地だけでなく、骨や縫い目、レースなどの装飾品など様々な要素で構成されています。そのため、生地の性能が100%であっても、完成品の性能が100%になるとは限りません。

 

また、「100%」と表示することで、消費者に「完全に光を遮断する」「紫外線を完全にカットする」という誤解を与え、過度な期待を抱かせる可能性も懸念されます。

表示のあり方に対する提案

消費者に正しい情報を提供し、誤解を防ぐためには、以下の点を考慮した表示が望ましいと考えます。

  1. 生地の遮光率・UVカット率と完成品の遮光率・UVカット率を区別して表示する

    • 生地単体の試験結果を「生地遮光率」「生地UVカット率」のように明記する。
    • 完成品としての遮光率・UVカット率は、縫い目や構造の影響を考慮し、「99.9%以上」または「99%台」のように表示する。→ただしこれを証明する検査方法は現状ない

  2. 「完全遮光」「UVカット100%」といった断定的な表現を避ける

    • 消費者に誤解を与える可能性があるため、「ほぼ完全遮光」「UVカット率99.9%以上」のように表現する。→法整備しないかぎり、足並みは揃わないと思われる

  3. 測定方法・基準を明確に表示する

    • どの試験機関で、どのような方法で測定した結果なのかを表示することで、消費者が遮光率・UVカット率を客観的に判断できるようにする。
    • JIS規格などの公的規格に準拠している場合は、その旨を表示する。

  4. 遮光性・UVカット効果以外の要素も表示する

    • 遮熱性に関する表示についても、現状では消費者に誤解を与える表現が多く見られます。例えば、「10度涼しい」という表記は検査時のものであり、実際には測定条件や個人差によって体感温度は大きく異なります。また、「3層/4層だから完全遮光」という表記も、太陽光(近赤外線までを含む)が完全に遮断されるわけではないため、誤解を招く可能性があります。

今後の展望

日傘の遮光率・UVカット率表示に関する議論は、全くされていないのが現状です。今後、小売店バイヤー、ECプラットフォーム、傘メーカー各社、検査機関など、様々な関係者と意見交換を行い、より良い表示方法を模索していく必要があります。

 

消費者が安心して日傘を選び、快適に過ごせるよう、業界全体で協力し、より良い製品と情報提供を目指していきましょう。