傘の品質試験の一つである「親骨の曲げ強度試験」について詳しく解説しようと思います。
というのも、最近この親骨の曲げ強度試験について、熱心に研究をしているのですが、自分でも今まで知らかなったことがあり、皆さんに共有したいと思いました。
特に業界関係者の方が調べてもよくわからなかったことが、クリアになれば幸いです。
※この試験の名称は「かさの骨の強度」と呼ばれることがあります。
※別の試験で「傘骨の強さ」というのがありますが、これは傘を回す試験の回転トルク試験です。
1. 親骨の役割
傘の骨組みは、中心の「中棒」と、それを支える放射状の「親骨」から構成されています。
親骨は傘の形状を維持し、風を受け止める重要な役割を担っています。
2. なぜ曲げ強度試験が必要なのか?
強風時に傘が壊れてしまうと、怪我をしたり、周りの人に迷惑をかけたりする可能性があります。
そのため、親骨がどれだけの力に耐えられるのかを調べる「曲げ強度試験」が重要になります。
3. 試験方法
親骨の曲げ強度試験には、主に以下の2つの方法があります。
方法1:傘全体を用いた試験
- 傘を開いた状態で水平に設置し、手元と石突を固定します。
- 親骨の先端部分に6N(約612g)の荷重を加え、1分間保持します。
- 試験後、骨に亀裂、破損、変形などが無いかを目視で確認します。
- この方法は、長傘全体のバランスや構造も考慮した試験と言え、「かさの骨の強度」としてJUPA基準として制定されている試験方法です。一方で軽さやコンパクトさを重視した折りたたみ傘には不向きな試験方法だと私は考えています。
方法2:親骨の一部を用いた試験
- 傘から親骨を約15cmの長さに切り出します。
- 3点曲げ試験機に親骨をセットし、中央部分に荷重を加えていきます。
- 親骨が折れるまでの荷重を測定し、曲げ強度を算出します。
- QTEC基準では50N以上が合格とされています。
- この方法は、親骨の材質そのものの強度を測定する試験と言えます。
4. 強度を左右する要素
親骨の曲げ強度は、以下の要素によって左右されます。
- 材質: 鉄、アルミ、グラスファイバー、カーボンファイバーなど、素材によって強度が異なります。
- 太さ: 親骨が太いほど強度が高くなります。
- 形状: 親骨の断面形状によっても強度が変わります。
- 加工: 熱処理などの加工によっても強度が向上します。
現時点では素材調達のしやすさ、コスト、環境問題などをトータルで考えるとグラスファイバー素材が、親骨に最適な素材だと思います。
6. 傘を選ぶ際のポイント
傘を選ぶ際には、親骨の材質や太さ、構造などを確認しましょう。
特に強風の多い地域では、強度が高い傘を選ぶことが重要です。
傘の品質試験は、ユーザーの安全を守る上で非常に重要な役割を担っています。
親骨の曲げ強度試験について理解することで、より安全で安心な傘選びができるようになるでしょう。