傘のOEMお問い合わせで「生地の持ち込み企画はOKでしょうか?」という問い合わせが増えていますので、ブログに書きたいと思います。
結論はOKです。前向きに取り組みいたします。
ですが、事前にチェックしなければならないことが多々あります。
雨傘用として適する生地か?
雨傘用の生地はある意味特殊です。
生地表面には撥水処理(撥水3級以上)が必要、裏面には防水(耐水250mm以上)処理が必要です。
完全な日傘には防撥水加工は不要ですが、ニットのように伸縮する生地は使えません。
※日傘には防撥水加工は不要と書きましたが、日傘のほとんどの生地には撥水加工がされています。機能的な意味もありますが、生地をまっすぐにする意味もあります。
これらを満たしていたとしても、厚みのある生地は傘用には不向きです。
標準的に使われているポリエステル生地で0.15mmくらい、軽量薄手なもので0.08mm位が相場です。
標準以上に厚い生地を、折りたたみ傘に張ると、収納状態ではものすごく太くなってしまいます。
また二層構造などの固い生地も傘には不向きです。
縫製して問題ないか?
傘を縫製するときは、当然ですが、針と糸を使います。
固い糸で織った生地では、針穴が大きく広がってしまう場合があります。
その針穴から雨が漏れるという可能性があります。
また薄すぎる生地、表面に光沢がある生地は、ミシンを滑ってしまい上手く縫えない場合があります。
生地幅は効率的か?
傘生地でよく使う生地幅は62〜66インチ(157〜168cm)が主流です。
この幅をベースに一般的な傘サイズであれば3コースの小幅(52〜56cm)に裁断して使用します。
日本製生地ですと、生地種類によって様々ですが、100〜150cm幅位が主流かと思います。生地幅によっては裁断ロスが多くなり、コスト高になってしまう可能性があります。
生地スペックの確認を事前にお願いします
持ち込み企画をされる前に、生地スペックの確認をお願いします。
意外とスッと答えられる人が少ない気がします。スペックと言ってもあまり細かくは確認不要で、
- 素材名(ポリエステル・ナイロンなど)
- 打ち込み本数(1インチ辺りの)
- 糸太さ(何デニールか)
これらの情報を事前にいただけると、アンベル社としても動きやすいです。
折りたたみに弱い生地が稀にあります
ごくまれに、傘生地の折り目部分の繊維が抜け落ちてしまったような現象(専門用語で何ていうのか不明)が発生したりします。
折り目がついても大丈夫な生地かを事前にご確認ください。
ついでに斜行が激しい生地も傘には不向きです。
まとめ
あれこれ書きましたが、まずは一旦テストサンプルを作ってみましょう。
お客様のご要望に添えるよう、努力いたします。
傘へのテスト張りは傘サイズにもよりますが、3〜5mほどの生地をご準備ください。
制作期間は2-3週間程度です。