財務省貿易統計HPから、傘の輸入数などを調べることが可能です。
傘業界に身を置くものとして、毎年確認していますが、2019年の結果は衝撃的なものでした。その中身は・・・
2019年度は過去22年で最低の輸入数でした
※「財務省貿易統計統計」(https://www.customs.go.jp/toukei/info/index.htm)のデータを抽出・加工して作成
アンベルのHP内にも記載しています(https://www.amvel.net/import/)が、2019年度の輸入数は100,791,874本で、過去22年で最低。2019年は傘を使うようなシーンの雨が少なかったような気がしていましたが、こんなにも数量が少なくなっているとは・・・
参考までに、気象庁HPでは日本の年平均降水量偏差が公表されていて、2019年は「+35.5」という数値で極端に雨が少ないという感じではありません。個人的には降水量と傘の輸入数との相関関係はないと思います。降水量というよりも雨の降る時間帯、日数、降雨の断続的長さなどが傘の需要とリンクするのではないかと考えていて、2019年は傘に需要が発生するような雨が少なかった気がします。
また傘の輸入には日傘も含まれていて、猛暑・酷暑と言われるサマーシーズンの日傘は輸入が多かったのではないかと推測しています。
長傘が激減、折りたたみ傘は好調
特に長傘の輸入数落ち込みが激しい状況で、突発的な雨が少なかったのかもしれません。使い捨て傘の購入が減っているような気がします。一方、折りたたみ傘は前年より輸入数・金額ともにわずかですが増えています。
アンベル社的にも折りたたみ傘の開発に専念していて、これからの傘は折りたたみだと確信しています。
輸入の平均単価は上昇傾向
平均単価も海外工場のコスト上昇傾向に並行するかたちで、前年比5%アップしています。わずか5%かもしれませんが、製造輸入業者としては、なかなかお客様に転嫁しにくく、じわりと収益を圧迫する要因になるのではないでしょうか。
2003年と比較すると178%も輸入単価がアップしておりますが、肌感覚としては2003年に販売していたものと、現在で小売価格も同様にアップしていないと感じます。
また機能性の高い商品も増えているので、単なる原材料値上げ・人件費高騰だけではなく、カーボンファイバーのような高機能素材や高級な日傘を使う傾向が増え、単価も上がっている気がします。
輸入数の増加→業界の繁栄、という見方があると思います。しかし弊社ミッションに掲げているように「ゴミにならない傘を」ということが一番大切です。使い捨て傘の輸入が減るのであれば大変よいことだとは思います。
輸入統計には、使い捨て傘かそうでないのかは分類されていないので調べることが出来ません。
財務省さん、新たな品目コードを発行して、使い捨て傘という分類をしてみてはどうでしょうか?
ついでに環境負荷の高い使い捨て傘には重い関税もかけてください!