2019年3月に JIS L 1951「生地の遮熱性評価方法」が制定されました。
従来では「遮熱指数」を試験結果の数値として出す検査方法がありましたが、各試験機関の統一された試験方法ではありませんでした。今回の制定で、統一した試験方法となり、結果もわかりやすくなったと思います。
※QTECさんでは独自の「遮熱効果率」の検査を実施しています。
太陽光の熱をさえぎる性能を数値化したもので、温度上昇がどれくらい抑制できるのかを試験する。
試験方法については、ボーケンのWebサイトを参照してください。
(ブランク上昇温度ー試験片上昇温度)÷ブランク上昇温度✕100で計算する。
遮熱率が高いほど、熱を遮る性能が高いことを示します。
文字だけではわかりにくいと思いますで、アンベル社が実際に試験した数値をもとに、どのように計算するのかを表示します。下表のように経過時間、試験片の温度、ブランクの温度の差を確認します。
経過時間(分) |
試験片温度(℃) | ブランク温度(℃) |
0 | 20.6 | 20.5 |
1 | 27.2 | 45.9 |
2 | 31.6 | 54.3 |
3 | 34.0 | 57.1 |
4 | 36.2 | 58.8 |
5 | 37.6 | 60.0 |
6 | 38.1 | 60.4 |
7 | 38.6 | 61.0 |
8 | 39.1 | 61.2 |
9 | 40.1 | 61.4 |
10 | 40.7 | 61.9 |
11 | 40.4 | 61.9 |
12 | 41.0 | 62.1 |
13 | 41.0 | 62.3 |
14 | 41.0 | 62.5 |
15 | 41.2 | 62.5 |
温度測定をグラフにすると、下図のようになります。図で見ると試験片とブランクの温度差が明確ですね。
最終的には、経過時間0分と経過時間15分との温度差を確認します。
経過時間(分) |
試験片温度(℃) | ブランク温度(℃) |
0 | 20.6 | 20.5 |
15 | 41.2 | 62.5 |
※現在の試験では30分経過した数値で計算します。
上昇温度の差 | 試験片温度 20.6℃ | ブランク温度 42.0℃ |
あとは計算式にあてはめていくだけです。
(ブランク上昇温度ー試験片上昇温度)÷ブランク上昇温度✕100、なので
(42.0-20.6)÷42.0✕100=50.95。小数第2位を四捨五入して、この試験の遮熱率は51.0%という結果になります。
遮熱率に関しては以下のランクに分類されます。
遮熱率 | 区分記号 |
65%以上 | S65+ |
55%以上 65%未満 | S55 |
45%以上 55%未満 | S45 |
35%以上 45%未満 | S35 |
25%以上 35%未満 | S25 |
15%以上 25%未満 | S15 |
15%未満 | S15- |
一般的には遮熱率35%以上あれば、遮熱効果があるとされています。